先日、学科の先生方とお会いしたときに
「フランス文化を身近に知ってもらう為に、俳優やスポーツ選手なんかを紹介したいんだけど、最近は知名度のある人が少なくて」
とのお話がありました。
それを聞いて僕は
(えっ、フランス語学科って元々そういう興味がある人が学びに来るんじゃないの? 先生がそんなケアーまでしてあげるの?)
と思ってしまったのですが、偏差値や大学の名前だけを見て入学する人もいるのでしょうし、振り返れば1年生の「フランス文化入門」はまさにそういう取っ掛かりを仕込む場でもあったのだろうなと思い直し、また、勉強や研究に向けたヒントをもたらすことは大事なんだろうなとも思いました。
とはいえ、先生が挙げておられた有名人の名前がカトリーヌ・ドヌーヴだったので、さすがにそれは古すぎだろう(失礼)と思いましたが、一方で、2017年のいま日本でも普遍的に知れ渡っているフランス人ってどれくらいいるのかという疑問も頭に浮かびました。そして、人だけでなく普段気づかないだけで多くのフランス語圏由来の言葉や製品が我々の身近にあるのではないかという気もします。
そこで、思いつくままにフランス、フランス語或いはフランス語圏に関係した話題を不定期に書いてみたいと思います。
事始めに、フランス語圏(Francophonie)って世界にどれくらいあるんだろう。これ、フランス文化入門の初回で習ったよね確か。キレイに忘れてますね(笑)。改めて調べてみたところ、フランス語圏を「フランス語を公用語とする国と地域」と定義するならば、29カ国でした:
フランス、モナコ、ベルギー、スイス、イタリア、カナダ、アメリカ、ハイチ、コンゴ民主共和国、マダガスカル、コートジボワール、ギニア、カメルーン、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、セネガル、ルワンダ、ブルンジ、トーゴ、中央アフリカ、コンゴ、ガボン、コモロ、ジブチ、モーリシャス、セーシェル、レバノン、赤道ギニア(順不同)
北・西アフリカに偏っていますが、この地域への植民地支配が第二次大戦後も続いたことが影響しているのでしょう。ベトナム、カンボジアへの支配がもう少し長く続いていたならば、フランス語学科の守備範囲もまた変わっていただろうと思うに、とても興味深いところです。
また、カナダやイタリアのように、国の大部分で別の公用語が用いられていてもフランス語圏として扱われています。
一種のレアケースとして、僕は仕事で赤道ギニアに二度行ったことがあるのですが、スペイン語とポルトガル語が主でフランス語は第三公用語とされており、フランスとの関係強化の為にそのように制度化しただけと聞きました。少なくとも、首都マラボ市内でフランス語を話す市民はいませんでした。
こういう国をフランス語圏とカウントすべきなのかはいささか疑問な気がしますが、言語が関係強化につながるというのもフランスらしい気がしてしまいます。
(つづく)
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